ミル貝

恥ずかしいからといっていつも彼女は

ぼくの顔の前では脚を開こうとはしない

 

けど、気に病むほどの色ではないし

 

ふんわりとして柔らかくて

とても可愛いと思う。

 

ぼくは比較対象をほとんど知らないから

気にしなくていいよ

 

って言うのに

 

「嘘ばっかり。内心、黒アワビとか

思ってんでしょ」

 

『思ってないよ、何それ。

ミル貝くらいじゃないの?』

 

「ミル貝!?

そんな白いわけないよ。やっぱ

絶対バカにしてる」

 

ベッドの上でそんな会話をして

怒って隠そうとする太ももをがっちり押さえてそうはさせない。

 

そのうちに体を反らせてエロい汁をたくさん出してしまう彼女の

赤くなった頰を足の間から眺めた。

 

本当に綺麗だから

気にしないでほしいと思ってる

なのに、それは

なかなか伝わらない

 

 

 

 

 

 

 

あの人

あの人の性格からして、

友達ができるタイプじゃないと思う。

自分がとても厳しい境遇に置かれてるから

他者を思いやる余裕がなくて

いつも自分の物差しでしか周りを測ることができない

周りを見てないし

空気も読めない。

子育てにも向いてないと思う

彼女に子供がいるってことが

とても不可解だ。

 

だからそこをぼくがカバーする

 

彼氏で友達で、メル友で

 

そうしていつか

 

彼女にとって

なくてはならない存在になる

失敗

昼に、いつものショッピングモールで

レイさんを見つけて

 

階段の裏側に隠れてキスして

ドーナツ屋さんで一緒にカフェオレを飲んで帰した。

 

その夜

新幹線の切符売り場の前から電話した。

 

『声出さないで。返事もしなくていいから聞いて。

保険証とか、薬とか病院とか役所関連で必要な大事なものと、

2、3日分の着替え持って来て。

 

待ってるから。』

 

だけど、彼女は来なかった。

 

行けないとかの連絡も何もなく

 

つきあってもう半年

 

そろそろいいだろうとか

思ってた自分を恥じた。

 

ぼくはレイさんにとって

 

何なんだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はぼくを好きと言わない

彼女はぼくを好きと言わない

ただ

ぼくが彼女の中に入って肌を合わせて

 

満たしている時だけは

目を見て名前を呼んで、

抱きついて好きって言う

 

その瞬間のためなら

ぼくはなんだってできる